相続が発生すると、必ず戸籍の取得をしなければなりません。戸籍の取得後には一般的に相続関係説明図と言われる、相続人の家族関係を表す図を作るのが一般的です。
ここでは、相続関係説明図の書き方について説明いたします。
相続関係説明図とは
相続関係説明図とは、被相続人と相続人の家族関係を一目でわかるようにまとめた図のことです。この図を作成するには、被相続人の出生から死亡までの戸籍と、相続人の現在の戸籍を取得して戸籍から家族情報を読み解くことが必要です。
さらに、数次相続や代襲相続等の事由が発生した場合には、相続人の対象範囲が広くなり、戸籍が20通以上必要になる場合もあります。
相続関係説明図は法律上作成の義務はありません。しかし金融機関や法務局などで戸籍を提出する際に、相続関係説明図があれば通常、戸籍謄本の原本を還付してもらえるので、相続関係説明図は作成しましょう。
法定相続人について
相続関係説明図の作成は被相続人と相続人の戸籍謄本を集めて、相続に関わる者の家族関係を整理して作成します。法律上誰が相続人になるかは民法によって下記のように定められています。
配偶者:常に相続人になる
子供:第一順位
直系尊属:第二順位
兄弟姉妹:第三順位
つまり、配偶者は第一順位以下の者と一緒に相続をすることになります。ただし、その相続分は平等に分けられるのではなく、配偶者がどの順位の者と一緒に相続するかによって、相続分の割合は変わります。
たとえば、相続人が配偶者と子供の場合は相続分が2分の1ずつですが、配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1の割合で相続されます。これを法定相続分といいます。
第900条【法定相続分】 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。 一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。 二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。 三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。 四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。
相続関係説明図の作成
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集する
相続関係説明図の作成を行うには、相続人と被相続人の家族関係を明らかにするため被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得しなければなりません。
以下に戸籍謄本の収集に必要な物を挙げました。
必要物
・戸籍交付申請書(各市区町村のホームページより無料でダウンロードできます。)
・請求者の本人確認書類のコピー
・手数料(戸籍謄本:1通450円 除籍謄本・改製原戸籍謄本:1通750円)
・委任状(代理取得の場合)
※申請の必要物は各市区町村によって異なりがあります。
相続人全員の戸籍謄本、戸籍の附票(住民票)を収集する
続いて、相続人全員の戸籍謄本と、戸籍の附票(住民票)を取得します。戸籍謄本や戸籍の附票は市区町村によって差異はありますが、基本的に同じ書類で取得が可能です。
戸籍の附票は相続関係を調べる作業では必要ではありませんが、後の土地の名義変更手続や、自動車の名義変更手続等に用いられます。その他にも、相続人の居場所が分からない場合には、戸籍の附票を取得することにより、住所を調べることもできます。
収集した資料をもとに相続関係説明図を作成する
最後に、集めた戸籍謄本等を基に相続関係説明図を作成します。相続関係説明図を作成するにあたって、法律上に形式や書き方を定めた条文が無いので、ネットの書式や例を見ながらでも簡単に作成することが可能です。
相続関係説明図の作成例
相続関係説明図のテンプレートや記載例がネット上でたくさん存在しているので検索して参考にしてみてください。
下記にオリジナルのテンプレートと法務局のホームページのテンプレートを貼っておきます。

【関連項目】

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