
相続の必要書類に「住民票の除票」と書かれていても、戸籍の除籍謄本と同じものなのか、どこの役所へ請求するのか迷うことがあります。住民票の除票は、転出や死亡などによって消除された住民票で、亡くなった方の最後の住所などを確認するために使います。戸籍とは請求先も請求できる人の条件も異なり、家族であっても利用目的の説明が必要です。この記事では、相続で使う場面、必要書類、郵送請求の進め方、行政書士へ取り寄せを依頼する場合の確認点を解説します。
目次
住民票の除票とは何か
別の市区町村への転出や死亡などで住民登録が消除されると、それまでの住民票は「除票」として保存されます。役所から交付を受ける証明書の名称は、通常「住民票の除票の写し」です。「写し」は自宅でコピーしたものという意味ではなく、自治体が証明した書類を指します。
除票には氏名、生年月日、住所などに加え、転出によるものなら転出先の住所や異動年月日、死亡によるものなら死亡年月日などが記録されます。ただし、請求方法や利用目的によって証明書に表示できる項目は異なるため、記録されている事項がすべて自動的に印字されるわけではありません。
| 書類 | 主に確認する内容 | 主な請求先 |
|---|---|---|
| 住民票の除票の写し | 消除された住民登録の住所、転出・死亡等の事項 | その住民票を保存する市区町村 |
| 除籍謄本 | 戸籍に記載されていた人の身分関係 | その除籍を保存する本籍地の市区町村 |
| 戸籍の附票・除附票 | その戸籍に対応して記録された住所の履歴 | その戸籍の本籍地の市区町村 |
「除票」と「除籍」は名前が似ていますが、住所を確認する書類と身分関係を確認する書類という違いがあります。亡くなった方の除票を取得しても、それだけで相続人全員や出生から死亡までの親族関係が分かるわけではありません。
住民基本台帳法第15条の3|除票に記録する事項
条文の要旨:除票には、消除前の住民票に記載されていた事項に加え、消除した事由やその年月日などを記載します。転出の場合は、転出先の住所も対象です。除票が最後の住所や異動の確認に使われる根拠となる規定です。
相続で住民票の除票が必要になる場面
相続手続では、誰が相続人かという身分関係に加え、亡くなった方の最後の住所を確認する場面があります。相続手続とは別に、未支給年金や死亡保険金の請求など、死亡後の手続で必要になることもあります。必要書類は手続ごとに異なるため、「相続なら必ず同じ書類をそろえる」と考えず、提出先の案内を確認することが大切です。
| 手続の例 | 確認すること |
|---|---|
| 法定相続情報証明制度 | 被相続人の最後の住所を確認するために除票を準備します。廃棄等で取得できない場合は、戸籍の附票を用意する案内があります。 |
| 相続放棄の申述 | 裁判所の標準的な添付書類では、被相続人の住民票除票または戸籍附票が挙げられています。 |
| 未支給年金・死亡保険金等の請求 | 提出先から求められる場合に取得します。請求者に受給・受取等の権利があることを確認できる資料も準備します。 |
本籍・筆頭者や世帯主・続柄まで必要なのかも、取得前に確認しましょう。省略した証明書を受け取ってから追加事項が必要だと分かると、再請求になることがあります。また、除票を準備しただけでは、それぞれの相続手続が完了するわけではありません。
請求できる人と必要な理由
転出などで除票となった本人は、自分の除票を請求できます。本人以外の方が本人に代わって請求する場合は、委任状などで代理権を示します。以前同じ世帯にいた配偶者や子であっても、それだけで本人と同じ条件で請求できるわけではありません。
亡くなった方の除票については、請求者自身が相続などの権利を行使するために必要であることや、官公庁へ提出する必要があることなどを説明します。亡くなった方から新たに委任状をもらう手続ではなく、請求する相続人等の立場と利用目的を確認する手続です。
住民基本台帳法第15条の4第1項・第3項|本人と第三者の請求
条文の要旨:第1項は除票に記載されている本人の請求を定め、第3項は自己の権利行使・義務履行、官公庁への提出、その他正当な理由に基づく申出について、相当と認める場合の交付を定めています。相続人等が亡くなった方の除票を請求するときにも、具体的な必要性の説明が重要になります。
例えば、相続手続なら亡くなった方と請求者との関係が分かる戸籍、死亡保険金なら請求者が受取人であることが分かる保険証書などが確認資料になります。必要な資料や省略できる資料は自治体の審査によるため、手元の書類だけで足りるかを請求先へ確認してください。
請求理由は、手続名・提出先・必要事項を具体的に
記載例:「亡父の相続に関する法定相続情報一覧図の申出を行うため、○○法務局へ提出します。被相続人の最後の住所を確認するために必要です。」
実際の目的に合わせて記入し、本籍等の記載が必要な場合は、その必要性も伝えます。「家族だから」「念のため保管したい」だけでは、交付が認められないことがあります。
行政書士による取り寄せ代行と料金
当サービスでは、請求権限と利用目的を確認したうえで、行政書士が依頼者に代わって住民票の除票や戸籍等の収集・郵送請求を進めます。相続人が遠方に住んでいる場合や、戸籍と住所の証明をまとめて準備したい場合には、提出先の必要書類の案内もあわせてお知らせください。
戸籍等の取り寄せ代行料金
| サービス | 行政書士報酬 |
|---|---|
| 戸籍・住民票・戸籍の附票等の1通取得 | 11,000円+実費 |
| 相続等の戸籍収集一式 | 33,000円+実費 |
証明書の交付手数料・郵送料等は別途実費です。除票を含む取得対象と業務範囲は事前に確認します。第三者請求等は、請求権限・利用目的・疎明資料によって受任できない場合があります。
郵送で取り寄せる手順と必要書類
亡くなった方の最後の住所を証明する除票は、その住所の住民票を保存する市区町村へ請求します。本籍地、亡くなった病院の所在地、相続人の現在の住所地へ一律に請求するものではありません。市町村合併や行政区の変更がある場合は、現在の担当窓口や郵送センターを確認します。
- 提出先に、除票の必要性、必要な記載事項、通数を確認します。
- 保存する自治体の公式ページで、除票の郵送請求方法と送付先を確認します。
- 申請書に対象者の氏名・生年月日・当時の住所、死亡等の時期、請求理由、提出先を記入します。
- 本人確認資料、関係資料、手数料、返信用封筒等をそろえて送付します。
- 届いた証明書の氏名、住所、必要事項を確認し、提出先へ使用します。
| 準備するもの | 確認するポイント |
|---|---|
| 交付申請書・必要に応じた申出書 | 「住民票」だけでなく「除票」が必要であることを明記し、連絡先も記載します。 |
| 請求者の本人確認書類の写し | 現住所の確認方法や利用できる書類は自治体の案内に従います。マイナンバーカードは通常、表面のみを使用します。 |
| 利用目的・権利関係を示す資料 | 戸籍、保険証書、提出先からの案内など、請求理由に対応する資料を用意します。 |
| 手数料・返信用封筒等 | 金額・納付方法・返送先の条件を確認します。全国共通の料金・支払方法ではありません。 |
| 代理権を示す書類 | 代理請求では委任状等が必要です。死亡者の除票では、請求する権利のある相続人等からの委任関係を確認します。 |
自治体の交付手数料に加え、往復の郵送料や支払方法に応じた費用がかかります。例えば奈良市では除票の写しは1通300円と案内されていますが、請求先が別の自治体ならその自治体の金額を確認してください。郵便の往復と役所の確認に時間が必要なため、全国一律に「何日で届く」とは決められません。
申請書・記入例ダウンロード
書式の例として、奈良市が公式配布する次のPDFを確認できます。全国共通様式ではないため、実際の請求には請求先自治体の書式と最新案内を優先してください。
保存期間と廃棄されていた場合の対応
住民票の除票の保存期間は、2019年6月20日施行の改正で、従来の5年間から150年間へ延長されました。ただし、改正前の保存期間に基づいて既に廃棄された記録が、延長によって復元されるわけではありません。古い除票が発行できるかは、対象の年月日と自治体の保存状況を確認します。
住民基本台帳法施行令第34条第1項|除票の保存
条文の要旨:除票または戸籍の附票の除票は、もとの住民票・附票を消除または改製した日から150年間保存します。現在の保存期間と、過去に廃棄済みの記録を取得できるかどうかは分けて考える必要があります。
取得できなかった場合は、まず理由を確認します。廃棄されたのか、請求先が違うのか、対象者や当時の住所を特定できないのかで、次に行うことが変わります。戸籍の附票等で必要な住所を証明できる場合もありますが、どの代替書類で足りるかは提出先へ確認してください。
例えば法定相続情報証明制度では、住民票の除票が廃棄等で取得できない場合に戸籍の附票を用意する案内があります。別の手続で、廃棄されたことの証明や上申書だけで足りると一律には判断できません。行政書士へ収集を依頼する際にも、取得できなかった理由や提出先からの指示が分かる資料を共有すると確認が進めやすくなります。
よくある質問
Q1.亡くなった父と同じ世帯だった子なら、委任状なしで取れますか?
同じ世帯だったという事情だけでは決まりません。相続等のために請求者自身が必要としていることを説明し、関係や利用目的を示す資料を準備します。亡くなった方本人からの新たな委任状を求める手続ではありません。
Q2.本籍地の役所へ戸籍と一緒に請求できますか?
その役所が必要な除票も保存している場合には、まとめて請求できることがあります。本籍地と最後の住所地が異なる場合は、戸籍と除票の請求先も通常異なります。
Q3.除票はコンビニで取れますか?
通常の住民票のコンビニ交付で除票を取得することはできません。保存している市区町村へ、窓口・郵送などの利用できる方法を確認してください。
Q4.亡くなった方のマイナンバーも載せられますか?
亡くなった方の除票には、個人番号(マイナンバー)を記載できません。提出先から番号を求められた場合は、除票への記載を前提にせず、必要な確認方法を提出先に相談してください。
Q5.除票が廃棄されている場合、相続手続はできませんか?
直ちに手続ができなくなるわけではありません。戸籍の附票などで代替できる場合があります。何が不足しているのか、どの資料で補えるのかを提出先へ確認し、その指示に沿って準備します。
請求前に提出先と必要事項を確認しましょう
住民票の除票を取り寄せる際は、「どの住所の記録が必要か」「誰の権利・手続のために使うか」「本籍等の追加事項が必要か」を先に整理することが大切です。当サービスでは、受任できる案件について、行政書士が必要な戸籍・除票等の取得を代行します。書類名だけで判断せず、提出先の案内をもとに必要な証明をそろえましょう。
参考サイト・外部リンク
制度・自治体の案内は2026年10月23日時点で確認しています。申請時には請求先と提出先の最新情報をご確認ください。
